Cuisine locale地産地消

イチジク農家 森 茂喜さん・久子さん

写真:イチジク農家、森茂喜さん・久子さん

メゾンカイザー仙台は「パンのある素敵な食卓をお客様と共に」を基本理念としています。さらに地域貢献の一環として「地産地消」への取り組みを行っており、従来より地元・宮城の農家様のご協力を得て、皆さまに安心してお召し上がりいただける食材を選び抜いて使用しています。

そのような地元の生産農家様の想いもお伝えしたいと考え、今回は山元町で丹精込めてイチジクを作っている、森 茂喜(しげよし)さん・久子さん夫妻をご紹介します。



山元町で最も早くイチジク栽培を手がける


写真:イチジクの木の前で話す森茂喜さん

ーーイチジクを栽培されてどのくらい経つのですか?

森 久子さん(以下、久子)今年で21年目になります。山元町でイチジクを作り始めたのはうちが最初でした。

森 茂喜さん(以下、茂喜)イチジクのいいところは、挿し木ですぐに根付くことと、木を低く仕立てることで手の届く範囲ですべての作業ができることです。ですから歳を取っても育てやすいんですね。
今では40アールの畑に240本のイチジクの木があり「ホワイトゼノア」という品種を主に栽培しています。

(久子)今では山元町のイチジク生産者は20人くらいになり、若い人たちもどんどん増えています。みんなうちからイチジクの枝を持って行ってね。このあたりのイチジクの遺伝子を調べると、全部うちの子どもたちなんですって。



「森さんのイチジクでなければ作れない」


写真:イチジクの葉を見る森茂喜さん

ーー森さんのイチジクのこだわりはどんなところですか?

(久子)化学肥料は使わず、有機肥料だけで育てていることでしょうか。あと、消毒や殺虫剤はうちでは使いません。そのほうがなんといっても安心ですから。

(茂喜)最近はカミキリ虫の被害が増えていますが、すべて手で捕まえています。



ーーそうして収穫されたイチジクの評判はいかがですか

(久子)それはもう自信がありますね! 食べ頃のものしか出荷しませんから。
メゾンカイザー仙台さんをはじめお取引先に直接納めるほか、直売所にも出荷しているのですが、お客様からは「甘みが強く、皮が薄くてやわらかいのに煮ても崩れない」と喜んでいただいています。他にも、うちのイチジクでないと商品が作れないと言ってくれる方もいて、ありがたいことです。



「食べ頃のイチジクは、畑で光っているの」


写真:イチジク畑

ーー皆さん、森さんのイチジクじゃないとダメなのですね

(茂喜)皆さんそれぞれほしいイチジクが違うんですよ。それに合わせるのが大変ですが、今では皆さんの好みがわかっていますから、このくらいの大きさで、このくらい熟しているものを……とお客様に合わせて選んで収穫します。
他の農家さんとうちとの違いは、収穫するタイミングです。

(久子)娘とか息子にもいでもらっても、やっぱり味が違うんですって。収穫が半日ずれても違ってしまうんです。



ーー食べ頃の見極めはそれほど難しいんですね

(久子)私は、食べ頃しかもぎません。詰めるときも自分が気に入ったものしか入れていないです。そうしないと自分が嫌ですからね。
食べ頃のイチジクは「穫ってくださーい」って畑の中で光っているの、黄色っぽく。まるでイチジクが呼んでいるみたいに。毎日穫っているとわかるんですよ。



最初は反対だったが、今では “自分のイチジク” に


写真:イチジクの木の前で笑顔の森茂喜さん

ーーイチジクの栽培を始めたきっかけは?

(茂喜)イチジクを始める前はサラリーマンで、兼業農家でした。養蚕をやったり、山切りや椎茸をやったり。このあたりのイチジクの畑も、元は桑畑だったんですよ。

(久子)主人は当時まだ勤めていましたが、辞めたあとのことをなにか考えておかないといけないなと。それで「空いてる畑どうしよう」と友人に相談したところ「教えてあげるからやってみたら?」と勧められたのがイチジクだったんです。
でも、始めた当初は文句たらたらだったのよね(笑)

(茂喜)桑やイチジクを触ると痒くなるんですよ、アレルギーがひどくてね。でもイチジクがなければ毎日ぷらぷらしてるようになるからねえ(笑)

(久子)最初は猛反対だったのに、今では「自分のイチジク」なんですって(笑)



イチジクを山元町の名産品にしたい

(茂喜)県を通じてメゾンカイザーさんをご紹介いただきましたが、生産者としては非常に良かったなと思っています。この町でイチジクを生産している人たちと、加工している人たちとがつながっていけばいいなと。
将来、イチジクが「山元町の名産品」となってくれたら嬉しいですね。



お客様からのラブレター

取材の最後に、直売所のお客様からもらったラブレターを見せていただきました。そこには「毎年イチジクをいただいています。品質が大変良いので、いつも森さんのしか求めておりません」と感謝の言葉が綴られていました。
久子さんは嬉しくてずっと大切にしまっていたそうです。


写真:お客様からのラブレター

インタビューのあいだも穏やかな茂喜さん、快活な久子さんの笑い声が絶えず、このお二人に我が子のように大切に育てられたイチジクだから美味しいのだと、そう思わずにはいられませんでした。

メゾンカイザー仙台では、イチジクが収穫される10月〜11月頃まで、デニッシュと、サラダランチに森さんのイチジクを使用しています。
ぜひ味わってください。


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